2013-01-01から1年間の記事一覧

『長歌行』その2

小ネタです。相変わらず歴史サイドからの重箱の隅エントリですが、別に真面目に糾弾コーナーとかしてるわけではないので、気楽に読み流して下さい。 夏達『長歌行』4巻P51 「隋の建成姫」とやってしまってるのですが、この人は義成公主でしょう。隋の宗室の…

李建成墓誌

玄武門の変で唐の太宗(李世民)に殺害された李建成とその妃の鄭観音の墓誌が出ていたようです。密売されて闇ルートに流れていたとのことですが。 報道されている李建成墓誌の誌文は次のものです。 大唐故息隱王墓誌 王諱建成武德九年六 月四日薨於京師粵以 …

豕禍

某所でのコメントを享けつつ、中国正史が記録したブタ(イノシシ)の奇形や怪異の話を拾ってみました。中国の五行では、豕禍は水の災異に分類されています。以下の記事中では、ブタとかイノシシとか言ってますが、文脈で何とはなしに家畜と野生を判断してる…

盗跖

盗跖または盗蹠は、『荘子』盗跖篇に見える人物で、魯の柳下恵の弟とされ、九千人の手下を率いて天下を横行した大盗賊といわれる。春秋時代の伝説的人物である。 ところが『史記正義』には「蹠は黄帝のときの大盗の名である」との異説を紹介している。また応…

益陽秦簡

秦二世皇帝胡亥の初年の簡牘が湖南省益陽市で出ているというニュース http://news.xinhuanet.com/shuhua/2013-11/25/c_125754857.htm http://jp.xinhuanet.com/2013-11/30/c_132930742.htm 益陽の兔子山遺跡の古井戸から今年6月に出たもの。 湖南省文物考古…

道武帝のサーティーン・パーティ

北魏国初の13人の「迭典庶事」だが、『魏書』で確実なのは安同・和跋・叔孫建・王建の4人のみ。ほぼ間違いないと思われるが、庾岳(庾業延)もこれに加わる。「外朝大人」の官にあって、北魏の軍事・国政の事務を統轄した人々である。残りの8人もおそらく史…

隋煬帝墓認定

揚州曹庄隋唐墓が煬帝と蕭皇后の合葬墓と認定されたというニュース。 http://www.47news.jp/CN/201311/CN2013111601002158.html http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20131117-OYT1T00307.htm http://news.xinhuanet.com/overseas/2013-11/17/c_118170614.h…

北魏の爵位デノミ

『魏書』巻7下高祖紀7下の太和16年正月の条に「乙丑,制諸遠屬非太祖子孫及異姓為王,皆降為公,公為侯,侯為伯,子男仍舊,皆除將軍之號。」とある。 492年(太和16年)1月に爵位を降格されてしまったと思われる北魏の人物をまとめてピックアップする。

曹一族のY染色体

復旦大学が中国全土の曹姓・夏侯姓・操姓の男性のY染色体を調べて、遺伝学的に曹操の血統に迫ったというニュース。 復旦大学の李輝(復旦大学現代人類学教育部重点実験室)のDNA分析により、曹操の子孫を称する曹氏のうち6家族から珍しいO2*-M268型の変異…

南朝梁は建康・江陵の二都の政権で大づかみにできる

戯言です。 第一次建康政権(武帝蕭衍)−パックス・ザ・皇帝菩薩 侯景政権(簡文帝蕭綱、豫章王蕭棟) 第一次江陵政権(元帝蕭繹) 第二次建康政権(敬帝蕭方智) 第三次建康政権(貞陽侯蕭淵明)−北斉の傀儡 郢州政権(蕭荘)−王琳による擁立 第二次江陵政…

中華書局修訂本

中華書局点校本『史記』の修訂本が出たようですが。 https://twitter.com/toho_jimbocho/status/390477120444444673 http://www.zhbc.com.cn/shownews.asp?id=2168 来年以降、引き続いて中華書局修訂本の二十四史が陸続と出る予定(詳しいスケジュールはよく…

吐渾

吐谷渾は663年に吐蕃に滅ぼされるが、その部衆は各地に離散している。晩唐から五代・遼のころには「吐渾」と呼ばれていて、オルドスや山西北部あたりに散居していたらしい。 『新五代史』四夷附録は、次のように言っている。 「吐渾は、もとは吐谷渾と号し、…

豊饒の箱庭−「魔法少女まどか☆マギカ 叛逆の物語」論

※以下、ネタバレがかなり入っていますので、本作を未観賞のかたには回避を推奨します。

秦地王

『魏書』世祖紀下の太平真君七年五月の条に、「蓋呉が(兵を)杏城に再集結させ、自ら秦地王を号した」とある。『北史』の魏本紀第二にも同様の記事がみえる。 『魏書』の封敕文伝に「略陽の王元達が梁会の乱に呼応し、兵衆を集めて城を攻め、休官・屠各の衆…

督郵を鞭打つ

『三国志演義』第二回において、張飛が督郵を鞭打った挿話は、物語の初期に人物の性格を印象づける役割を負っている。実際の歴史ではこのようなことはあったのだろうか。期待に反して督郵受難の例は正史にそれほど多くはない。 『後漢書』張王种陳列伝 とき…

馮季華墓誌について

馮季華墓誌は、北魏の正光五年(西暦524年)に作られた墓誌です。 1920年に洛陽城北の徐家溝村の東南で出土したもので、とくに新しいものではありませんが、今回取りあげてみることとします。 墓主は北魏の楽安王妃の地位にあった馮季華(?-524)という女性で…

張重について

とても賢い14歳のベトナム人少年の話 http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2013/05/14-88a0.html 張重という機知に富んだ少年が、前漢の昭帝と問答をするお話です。 作者のfinalvent氏によると、 元になる故事はあるけど作品としてはオリジナル…

煬帝墓誌について考えながら、反故を増やすこと

隋の煬帝の墓が出土 http://d.hatena.ne.jp/nagaichi/20130416/p1 の続きのエントリですが、続報らしい続報はありません。揚州市考古研究所が出してくる情報もさして増えておりませんで。いやま各地で交わされてる議論の紹介ならいくらでもできるのですが、…

秦の丞相にならなかった沈逞

『宋書』巻100自序は、『宋書』の編纂者である沈約の一族(呉興沈氏)について色々書いている。 「秦末有沈逞,徵丞相,不就。漢初逞曾孫保,封竹邑侯」 秦末に沈逞という人物があり、丞相として召されたが、就任しなかった。漢初に沈逞の曾孫の沈保がいて、…

隋の煬帝の墓が出土

ご無沙汰ぶりのブログで、わりとビッグニュースの紹介です。隋の煬帝の墓が江蘇省揚州市邗江区西湖鎮司徒村曹荘で出土したとのことです。 ↑今回発見の墓 揚州市は長江下流域の北岸に位置している古くからの都市ですが、隋のころには江都と呼ばれていました。…

王朝の至宝展感想

神戸まで足を延ばして「中国 王朝の至宝展」見てきました。近年の中国での考古出土文物のうちで特徴あるものを持ってきて、夏・殷から遼・宋までの時代テーマ順に配列したような展示でした。以下つれづれと書いていると、どうもコンセプト面に対する批判が多…

重瞳

『史記』五帝本紀は、「目重瞳子,故曰重華」といい、帝舜の重瞳の伝説を記録している。 『史記』項羽本紀は、「又聞項羽亦重瞳子」といって、項羽の重瞳の風聞を伝えている。 『晋書』呂光載記は、「身長八尺四寸,目重瞳子,左肘有肉印」といって、呂光を…

「尋」と「俄」のレスポンスタイム

正史の列伝などで頻出する接続詞に「尋」というのがある。漢和辞典を引くと「引き続いて」とか「まもなく」といった意味の語として指示される。そこで機械的に「まもなく」と訳すと面倒がないのだが、本紀の記述などを突き合わせて検討すると、その「まもな…

李信と章邯と心強さと

http://museru.digi2.jp/g02/g02.html 『史記』を見るかぎり、李信と章邯のあいだに深い関係を見出すことはできないのだけれど、交際がなかったという証拠もやはり見出せないわけで、そこは「繋がりを求めてしまうのが人の性(サガ)なのさ」と嘯けばいいわ…

集安高句麗石碑

吉林省集安市で高句麗の石碑が出たというニュースです。 墓守り(=煙戸)の売買を禁止する内容らしいです。 高句麗の長寿王の時代のもので、「先聖」は長寿王の父の好太王を指しているとみられます。 字釈は次のようなものです。 □□□□世必□天道自承元王始祖…

需要があるかは知らない

405年ごろかな。

1USERの声

はてなブックマークのデザイン変更は、閲覧性から評判が悪かったりするのですが、新着の1USER・3USERS・5USERSの別が消えたことも、残念ですよね。 場末のはてなーには、1USERが貴重なんだよ。アムリ〜タ〜じゃなかった、アミ〜ゴ。

昭襄王の墓

西安市臨潼区驪山の秦東陵の一号陵園が秦の始皇帝の曾祖父にあたる昭襄王の芷陵ではないかという話が出ています。 http://www.sn.xinhuanet.com/2013-01/06/c_114262258.htm

『達人伝』

王欣太『達人伝〜9万里を風に乗り〜』の第一話が公開されているようです。 http://webaction.jp/lineup/70/ 冒頭の鯤のエピソードは、『荘子』逍遥遊篇から。 「抑志而弭節兮」の歌は、屈原「離騒」の一節です。 古代中国っぽい独自の世界らしく、荘丹・玄…

王羲之「大報帖」の話

王羲之の書の写しが見つかったというニュースです。小野道風の書として知られていたものが、王羲之の模本だと鑑定されたという話らしいです。 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130108/k10014646631000.html http://mainichi.jp/feature/news/20130108ddm0…