曹一族のY染色体

復旦大学が中国全土の曹姓・夏侯姓・操姓の男性のY染色体を調べて、遺伝学的に曹操の血統に迫ったというニュース。
復旦大学の李輝(復旦大学現代人類学教育部重点実験室)のDNA分析により、曹操の子孫を称する曹氏のうち6家族から珍しいO2*-M268型の変異が見つかったということです。合わせて亳州の曹氏宗族墓群のひとつ、元宝坑1号墓の遺骨からも同じくO2*-M268型の変異が見られたそうです。

復旦大学の韓昇(復旦大学歴史系教授、中国魏晋南北朝史学会副会長)が結論するところでは、
1.曹操は曹参の後裔ではない。
2.曹操の子孫が改姓したと伝えられる操姓の人々と曹一族とのあいだには遺伝的には関係がない。
3.現在の夏侯氏曹操の家族のあいだも遺伝的に一致しない。
ということです。操氏・夏侯氏の話は分かるのですが、「曹操は曹参の後裔ではない」がどこから導き出されたのか、今ひとつ判然としないところです。

曹操の子孫をDNA検査で確認 中国上海の復旦大(共同通信
http://www.47news.jp/CN/201311/CN2013111201002781.html
曹操一族」特有の染色体…遺骨の真偽、決着へ(読売)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20131113-OYT1T00299.htm
曹操非曹参之后也不姓夏侯 DNA研究掲身世之謎(新華網)
http://news.xinhuanet.com/local/2013-11/12/c_118110758.htm
曹操遺伝子(Living, Loving, Thinking)
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20131112/1384271711

残念なことに安陽の西高穴墓の「曹操の遺骨」との突合はどうやらおこわれていないようですね。
河南負責人称暫不会鑒定曹操墓遺骸DNA(人民網)
http://scitech.people.com.cn/n/2013/1112/c1057-23508956.html

ところで復旦大学が取りあげた亳州の元宝坑1号墓ですが、1976年に亳県城の南郊で出土した後漢墓です。出土の墓磚からは、「倉天乃死」という蒼天已死を連想させる4字が出ていたり、「有倭人以時盟不」という極東歴オタの心をくすぐる7字が出ていたりします。ここの墓主は曹胤(曹騰の兄の子)というのが通説だと思うのですが、復旦大学は曹鼎(曹騰の弟)の名を挙げているのがやや気になります。

中島一憲『倭の古王国と邪馬台国問題上』(Google ブックス
http://books.google.co.jp/books?id=ZksbPd0TXBcC&pg=PA533
元宝坑一号東漢墓(百度百科)
http://baike.baidu.com/link?url=0f5u588FAnaIMyx3L4FdZfVAbO8Rrk_PcoMP3mqJk6PY7mCbYcaD7EoRrFMgqtPBqpWSE4Q-sOpX9db81sUIkq
曹氏宗族墓群(搜搜百科)
http://baike.soso.com/v34937046.htm