「分配」はたぶん和製漢語じゃない

 漢語的には動詞的用法しかないことと、「分けて配る」だけではなく、「分けて配置する」「分けて派遣する」の意味も持っていることには注意が必要だが、古い漢籍に用例は多数あり、和製漢語と主張するのは苦しい。もちろん名詞的用法が古典には存在しなかったとか、意味がやや変わっているとか、近代経済学の用語としたのは日本だとか主張して、和製漢語と主張するのも考えられるが、正直見苦しいように思われる。
『晋書』陳敏伝「敏請合率運兵,公分配眾力,破之必矣」
『晋書』石季龍載記上「先是,大發百姓女二十已下十三已上三萬餘人,為三等之第以分配之」
『魏書』高祖紀上延興四年条「二月,詔西征吐谷渾兵在句律城初叛軍者斬,次分配柔玄、武川二鎮」
『魏書』孝静帝紀武定二年条「文襄王從獻武王討山胡,破之,俘獲一萬餘戶,分配諸州」
『隋書』天文志上「至天監六年,武帝以晝夜百刻,分配十二辰,辰得八刻,仍有餘分」
『隋書』司馬徳戡伝「後數日,化及署諸將,分配士卒」
旧唐書』敬宗紀宝暦二年条「中官李奉義、王惟直、成守貞各杖三十,分配諸陵」