彩色兵馬俑展行ってきました

予告どおり「驚異の地下帝国 始皇帝と彩色兵馬俑展 〜司馬遷史記』の世界〜」 in 広島
http://www1.hpam-unet.ocn.ne.jp/exhibition/Heibayo.html
行ってきました。
展示の主役は彩色兵馬俑と『史記』関連ですが、裏のテーマは秦・漢の皇帝陵周辺の文物でしょうね。展示品は一部を除いてほとんど陝西省から出たものでした。この裏のテーマがちょっと分かりにくかったかもしれないです。
彩色兵馬俑は、始皇帝陵の「跪射俑」がいちばん派手に取り上げられていましたが、それに比べては地味な漢俑も彩色が良く残っているものが多かったです。楊家湾漢墓出土の歩兵俑や騎兵俑も、意外にしっかりしてましたね。人より馬がしっかりしてましたけどね(笑)。動物の造形はどれもなかなかいいです。
俑ばかりで目が飽きてきたところに、漢の画像石や印章や車馬や瓦当や封泥といった文物が出てきて目を楽しませます。太史公の封泥なんて司馬遷とからめて上手いなと思いました。こうした俑以外の文物も珍しいものが多かったですね。「金牌飾」なんか何に使ったものか真面目に考えてましたが、やはり分かりませんでした。
さて、展示の疑問点として僕が思ったことは、ひとつに呂后の紹介において「人彘」事件を取り上げて通俗的な悪女イメージのみを取り上げている点。呂后のそういう側面も否定はしませんが、それだけで終わっては司馬遷の意図にすら反している気がします。
もうひとつには、阿房宮炎上の件ですね。ほかのことでは、かなり新しい発見が参照されているのに、ここでは阿房宮炎上してない説は参照されていなかったです。引っ張ってきた近代画の大家の作品にケチをつけたくなかっただけかもしれませんけど。
話を始皇帝兵馬俑に戻しますが、「石鎧」や「百戯俑」や「楽士俑(船漕ぎ俑)」は、以前の中国国宝展でも見てますが、同じ種類の別物ですね。いずれも質は今回のほうがよかったです。来てなかったですが、「銅車馬」やオーパーツ(笑)「クロムメッキ剣」とか見たかったですね。今後に期待です。期待といえば、次の機会には地下宮殿の正体が明らかになっていることを期待します。実は里耶秦簡とか一部来ないかと思ってたんですが、今回の裏テーマ陝西省だったので、来るわけがなかったですわ。