骸骨を乞う

 漢籍史料に頻出する表現で、「乞骸骨」というのがあり、辞職を願い出るという意味である。大仰に見えるが、老骨を返していただきたいという謙譲表現である。初めて読む現代人は面食らうだろうが、漢籍史料を読むときの重要度は極めて高く、必須知識といっていい。「以老病乞骸骨」や「上疏乞骸骨」すら定型表現になっている。
史記項羽本紀
「范增大怒曰,天下事大定矣,君王自為之。願賜骸骨歸卒伍。項王許之」
史記』平津侯主父列伝    
「以病乞骸骨
漢書』五行志上
「後四年,根乞骸骨,薦兄子新都侯莽自代,遂覆國焉」
三国志』呉書呉主伝
「年出七十,乃上疏乞骸骨,遂爰居章安,卒於家」
『晋書』王覧伝
「頃之,以疾上疏乞骸骨
『晋書』華表伝
「數歳,以老病乞骸骨
『北史』宋隠伝
「以老病乞骸骨,不許」
旧唐書』高宗紀上
「八月甲午,右相許敬宗乞骸骨
『旧五代史』晋書華温琪伝
「清泰中,上表乞骸骨歸宋城,制以太子少保致仕」
『明史』李仕魯伝
「還陛下笏,乞賜骸骨,歸田里」