火井

 魏晋以前には蜀郡臨邛県に火井があり、その井の火で塩が煮られていたらしい。この火井については、油井であるとか、天然ガス田であるとか、現代的な解釈はいろいろある。唐代以降、その伝承をもとに邛州火井県が置かれている。

 『博物志』巻二に「臨邛有火井一所,從廣五尺,深二三丈,在縣南百里。昔時人以竹木投取火,諸葛丞相徃視之後,火轉盛熱盆蓋,井上煮鹽,得鹽入于家,火即滅絕,不復然也」とある。左思『蜀都賦』の劉淵林注に「蜀郡有火井,在臨邛縣西南。火井,鹽井也。欲出其火,先以家火投之,須臾許隆隆如雷聲,爛然通天,光耀十里。以竹筒盛之,接其光而無炭也。取井火還,煮井水,一斛水得四五斗鹽。家火煮之,不過二三斗鹽耳」とある。