中書v.s.門下。皇帝権力と貴族階級の相克みたいな

三省六部の制度は隋・唐以降のものだが、その中核となる中書門下尚書の役割分担は魏晋以来のものである。中書は皇帝の詔勅を起草し、門下は起草された詔勅や上奏文を審議し、尚書は行政の実務機関を統轄する。
中書はその性質上、皇帝の身辺に近く、また文章能力が要求されたので、教養のある文人が登用された。門下は「封駁」といういわば皇帝の詔勅草案に対する拒否権を持っていたので、門閥貴族たちの牙城となった。
貴族たちは皇帝権力を掣肘して操縦しようとし、皇帝は寒門や知識人を登用して自己の権力を補強して扶植しようとした。その権力闘争の舞台が中書と門下なのである。
では尚書は…というと、二大勢力の草刈り場かもね。(笑)
官制なんて退屈なものだが、こうした権力闘争の背景が横たわっていると思えば、生気を帯びてくるかもしれない。以上はあくまで図式的理解である。貴族階級の利害だって必ずしも一致しないし、中書は皇帝の御用文人だというのも必ずしも正しいものではない。それなりに注意されたし。