『常山紀談』の語る鍾離の戦い

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「謙信軍中に青竹を持れし事」

謙信は長さのみ高からず。左の脚に気腫有て、あゆむ時足をひく如く見えしとなり。物の具する事は尠く、黒き木綿の胴服を着、鉄にて造たる小き車笠をかぶり、ザイとる事も尠く、青竹を三尺計にして、杖の如く提げもちて、士卒を下知せられけり。梁の韋叡が竹如意の遺風也とぞ。
北魏の兵鐘離城を攻し時、梁より韋叡を以て後援させられけり。北魏の将大眼勇将にて、数萬騎を率て戦ひしに、叡は素木にて造りし輿に乗、白角の如意を執て軍兵を下知し、切りかちたる事史に見えたり。

鍾離の戦いが、田中芳樹以前(笑)の日本で語られている珍しい例。
梁書』巻12列伝6や『南史』巻58列伝48に、「韋叡が素木の輿に乗り、白角の如意を執って軍を麾かせた」とある。ただし、正史では楊大眼あいてに戦ったときではなく、その翌朝に元英と戦ったときのこと。