Nスペ「中国文明の謎」第2集感想

11日放送のNHKスペシャル「中国文明の謎 第2集 漢字誕生 王朝交代の秘密」を視聴しました。わりと近年の発見がいくつか取りあげられていたので、見所はありましたね。以下は散漫なコメントですが。
Youtube
http://www.youtube.com/watch?v=g9FzXAsqXhM
で、やや長目の公式のPR動画が見られます。
▼冒頭
「どうして多様な文化をひとつにまとめることができたのか?」という冒頭の問いですが、「中華民族多元一体論ですね、分かります」と茶化したくなったりもします。「漢字」という回答はストーリーとして用意されていて、他の視点は取りあげられないことには注意です。
▼望京楼遺跡
http://baike.baidu.com/view/5072399.htm
「夏」代末期の城跡と殷代初期の城跡が見つかってるところです。殺されたと見られる人々が番組の言うように夏の人々と強く言い切れるのかは、責任持ちませんけど。
▼安陽殷墟と甲骨文字
前世紀前半の発見ですし、わりとオーソドックスな紹介だったと思います。
三星堆遺跡
あの仮面はずっと「縦目仮面」と呼ばれていたはずなんですが、「突目仮面」とキャプションされてますね。「突目」のほうが分かりやすくはあると思いますけど。
▼羌
唐際根博士が殷代の羌がDNA的に甘粛省に住んでいる民族と近いことを紹介していましたが、
http://civilization.kexue.com/2009/1130/144.html
「寺洼文化」や「卡約文化」が羌の先民の文化と見られていることも、その説の背景にあるようです。
▼牧野の戦い
史記』周本紀の「紂師皆倒兵以戰」をどのように出してくるか、一部に非常に期待されていたようです。NHK的解釈だと、武器を捨てちゃったようですね。「倒れた兵」(笑)じゃなかったんだ。
笑いのポイントの分からないかたは、ここのカスタマーレビューを読んだうえで、
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4062740524/unkar-22
ここの過去スレに進むと一端が分かるかもしれません。
http://unkar.org/r/whis/1123502212
ちなみに周本紀によると、周とともに牧野で殷と戦った諸侯は、庸・蜀・羌・髳・微・纑・彭・濮ということになってます。
▼楊家村遺跡
「逨盤」←この文字は滅多に出てこないので出しておきたいですね。
▼金文
歴史に興味ない層には、甲骨文字の名は学校で習って聞いているのに、青銅器に鋳込まれた金文は全く聞いたこともないなどというふざけた現象が存在したりするので、時をとらえて宣伝しておきたいですね。研究史は甲骨より金文のほうがはるかに長いし、金文研究の伝統あってこそ、甲骨文字は解読できたわけでして。
▼葉家山曾侯墓地
http://baike.baidu.com/view/8425967.htm
見てるときには曾侯乙墓のことかと勘違いしてました。2011年度中国十大考古新発見にも入選した西周初期の墓のほうでしたね。ここまで最近の発見をさらっと紹介できるのは、さすがNHKと思いました。
満洲文字と康煕帝
意表を突かれましたが、漢字の危機?と『康煕字典』という語りは面白かったです。
▼次の「第3集 始皇帝 "中華"帝国への野望」は12月2日(日)放映予定です。ついに御大が登場してしまうのか…。全国のお茶の間の前で「特別領域」とか言い出す御大を想像するとgkbrですね。