ロボット方鼎

古代中国の青銅器がどう見ても「ドロイド君」だと話題に(ロケットニュース24)
http://rocketnews24.com/2012/10/21/257653/

ネタはネタとして楽しんでほしいわけですが、ネタではおさまらない鼎の話をば。この青銅器は山西博物院所蔵の「四足帯蓋方鼎」(しそくたいがいほうてい)と言います。
「鼎」(かなえ/てい)というのは、ふつう三本足の煮炊き道具ですが、たまに四本足で四角いフォルムなものがありまして、それを「方鼎」(ほうてい)といいます。ドロイド君の場合、フタがついているので「帯蓋」と言っています。「四足帯蓋方鼎」って、そのまんまの名称なのですな。

鼎は煮炊き道具という生活実用品だったにもかかわらず、祭祀に利用されることで威信財になってしまい、周代には「天子は九鼎、諸侯は七、卿大夫は五、元士は三」などと、身分による所持規制までかかってしまいました。斧鉞が王権の軍事権を象徴していたのに対して、九鼎は王権の祭祀権の象徴でした。楚の荘王が周鼎の軽重を問うたり、始皇帝が泗水で周鼎を引き揚げようとしたりしたのも、ひとえにドロイド君が偉大な象徴だったからなのですな。