『古代江南の考古学』

古代江南の考古学―倭の五王時代の江南世界 (白帝社アジア史選書)

古代江南の考古学―倭の五王時代の江南世界 (白帝社アジア史選書)

羅宗真著、中村圭爾・室山留美子編訳『古代江南の考古学―倭の五王時代の江南世界』(白帝社)

第一章 序論
第二章 都城遺跡
第三章 青瓷
第四章 帝王陵墓と石刻
第五章 貴族豪族墓と一般墓
第六章 墓磚
第七章 墓誌と地券
第八章 副葬陶瓷と金銀器
第九章 仏教建築遺跡
第十章 東西文化の交流

六朝時代の江南(といいながら江北も含んだ呉・東晋南朝の領域)の考古学の成果をまとめた著。日本語ではたぶん類書のほとんどない分野なので、中国語で読まないならこれを読むしかない。

しかし読みにくい本だった。内容が専門的なこともあるが、はっきり言って直訳調の悪訳・悪文がたまらない。
「しかし全体の焼成技術からみれば、宜興青瓷の焼成温度は一一六〇度から一二六〇度、通常でも一二〇〇度に達しており、その胎釉の構造、造形装飾などはたしかに相当高い水準に達していて、まさに成熟した青瓷の産地の一つであった。」(P62)のような日本語として破綻しているとしか思えないところが何カ所かあった。
「青瓷」は青磁でいかんのか、「磚」はレンガではいかんのかとか、ツッコミを入れながら読んでいた。個人的には第二章、第六章、第七章あたりが興味深かった。