「大敗」が現代日本語の「大勝する」を意味する話

http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1222290.html
212 :名無しステーション:2009/03/08(日) 11:57:09.16 id:MrhZVK+7
>>152
ああそっか、大勝するって意味の「たいはい」って言葉あるもんね

ねーよ

これ見て思いつきました。

漢文ならあるかも。
例文1:

大敗我軍,斬甲士八萬,虜我大將軍屈匄、裨將軍逢侯丑等七十餘人,遂取漢中之郡。
史記』楚世家

Q:勝ったのは「秦」と「我軍」どっちでしょうか。主語は「秦」、目的語が「我軍」(楚軍)ですけども。
A:勝ったのは「秦」です。「秦は大いに我軍を敗(やぶ)り、甲士八万を斬り、我が大将軍屈匄、裨将軍逢侯丑等七十余人を虜(とら)え、遂に漢中の郡を取る。」

例文2:

太丁之時,季歴復伐燕京之戎,戎人大敗周師。
後漢書』西羌伝

Q:勝ったのは「戎人」と「周師」どっちでしょうか。
A:勝ったのは「戎人」です。「太丁の時、季歴はまた燕京の戎を伐ち、戎人は大いに周師を敗(やぶ)る。
SVO文型で(主語S)+「大敗V」+(目的語O)の場合、
「主語(S)は目的語(O)を大(おお)いに敗(やぶ)る(V)」と読みます。Sが勝っているのです。


ただし、
例文3:

宋師大敗,襄公傷股。國人皆怨公。
史記』宋微子世家

SV文型の場合、「主語(S)は大敗(たいはい)す(V)」と読みます。「宋師は大敗し、襄公は股を傷つく。國人皆な公を怨む。」Sは負けています。

例文4:

淮陰侯復乘之,大敗垓下。
史記』高祖本紀

しかしこの場合、「淮陰侯はまたこれに乗じ、垓下に大いに敗る。」と読みます。勝ったのは淮陰侯(韓信)です。前後の文章を見ないと分かりません。文脈依存、あーややこしい。