『シルクロードと唐帝国』

森安孝夫『興亡の世界史05 シルクロード唐帝国』(講談社
まず異色の歴史概説書と評しておきます。ネット上の書評では序章の斜め前ぶりが人気ですが(笑)、なんでもソグドにからめていきそうな勢いの本編のほうも、かなり素敵です。ソグド人が商業だけでなく、軍事・政治・文化の諸相に関わっていく役割が明らかにされます。西欧中心や中華中心の史観を排して、北アジア中央アジアを包含したユーラシア世界史を提示していきます。新しい研究成果がふんだんに取り入れられているので、かなり美味しい本です。オススメです。
一般向けには序章と1章に目を通しておいて損はないと思いますし、
歴史好き向けには2、3、4章あたりの面白さをぜひ堪能すべきです。
隋末群雄の李軌麾下の安興貴・安修仁兄弟をめぐる新説なんか、個人的には目から鱗でした。