中国文化史における女性

よせばいいのに戯言の書いてあるWEBページを開いてしまい、中国文化史に名を残した女性がいないがごとき「妄言」にツノを立てる。
最低でも班昭蔡文姫謝道蘊薛濤魚玄機李清照柳如是くらいは挙げるべき。このへんは前近代の中国女性史を扱った論著では定番の面々だ。
ほかにも許穆夫人左芬鮑令暉劉令嫻上官婉児李季蘭花蕊夫人唐琬朱淑真蕭観音馮小青あたりを挙げてもいいだろう。

ところで件のページは、「中国史に登場する女性は、男を凌ぐほど残虐な暴君タイプか、男の都合のままに流されて生きる艶女タイプしかない。」などと言っている。

女性の性格が2タイプだと!
人の性格を4タイプに分ける血液型性格診断は単純すぎてネタ的に扱われるが、さらに少ないタイプで分類して恥じないとは。ほんの少しの人生経験と想像力というものがあれば、そんなことはありえないと気づけるはずだ。もちろん「中国史に登場する女性」が単純なのではなく、文章を書く人の女性観が単純なのであり、自分の知らないことは簡単に無かったことにしてしまえる「無知の無知」の態度なのである。中国史における女性の記録は男性のものと比べて相対的に貧しいが、件のページの筆者が考えているよりもはるかな広がりを持っており、本気で研究すれば人の一生分の時間くらいはあっさり蕩尽できることは保障する。
とりあえずこのページの著者に「李清照はどちらのタイプですか?」と問い質したいな。

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