玉璽は…

ブラウザゲーム「GYOKUJI〜旗揚げの時〜」
http://gyokuji.entercrews.com/

『Gyokuji』は中国の南北朝時代(439-589)の歴史を背景とした戦争戦略シミュレーションブラウザゲームです。プレイヤーは「江南」、「中原」、「漠北」の三つからひとつを選択し、資源の生産や略奪、絶え間ない軍隊の拡大、領土の拡張などを通じて、ゲームシステムとして実際に天下統一を果たす、壮大な背景とゲームシステムを搭載したゲームです。MMORPGの要素が含まれており、プレイヤー同士が協力し、仲間とチャットで会話をしながら、天下統一を目指していきます。

「中国の南北朝時代」という文句に釣られて遊んでみたのですが、かなりタルいゲームですね。戦略SLGというよりは、むしろ箱庭SLGです。施設を建てて成長させていく間の待ち時間がとても長い。作業の合間の片手間でいじってちょうどいいくらいのゲームです。

中国の南北朝時代を舞台にするゲームというのは目新しいのですが、その時代の実在の人物が出てくるわけではありませんし、史実と対応していると思えるイベントもありません。たんに雰囲気が中華風ってだけですね。架空の名前の武将は出てくるのですが、南北朝時代を特徴づける北族姓の人物が全く出てこない(改名は可能ですが)ので、べつに南北朝時代でなくてもいいではないかというのが、率直なところです。時代考証的にはコーエーが良心的に思えるくらいにはダメですね。

誤字やツッコミどころも多くて楽しめます。一部だけ挙げておきます。

NPC城「大量の緑林人士若しくは前奏の軍隊が駐守しており、かなりの実力を持っている」
「前奏」ではプレリュードになってしまって意味が通じないので、たぶん「前秦」を意味しているのだと思いますが、前秦(351年-394年)であれば五胡十六国のひとつなので、南北朝時代(439年-589年)とは少し離れてますね。
「緑林」も、両漢交代期の王匡・王鳳らのことを指すか、山林の間で王朝に反抗した人々のことを指すか、おそらくここでは後者の意味でしょうが、南北朝時代にはやはりそぐわない感じがします。


「徴兵」をすると「征兵開始」と出ます。「征」は「徴」の簡体字なので、このゲームのプログラムが中国大陸で作られて、細かいところが日本語にちゃんと直しきれていないのがバレバレだったりします。

以上、貶しまくってしまいましたが、本当はこのゲームのことを褒めたかったのです。中国の南北朝時代を舞台にしたゲームとして公開されたものというのは、たぶんはじめてなので。しかしこのゲームをプレイして南北朝時代のファンになる人はいないでしょうし、まだ少し時を待たなければならないかと思うと、え〜残念です。