ラノベ知らずがファンタジーの10年代を透視する

ラノベもたいして読んでないし、ゼロ年代とか批評の文脈も全然知らないんだけど、俺は日本のライトノベル/ファンタジーにとっての90年代が「ルネサンス」で、ゼロ年代が「近代」だと勝手に思ってる。
90年代を代表するファンタジーを思い出すに、ロードス島ソードワールド)とかスレイヤーズとか魔術士オーフェンとか、やたら中世風異世界ものが多かった。古き良き剣と魔法の世界。古典復興と英雄蘇生の時代。ソードワールドなぞ、もろにトールキンの古典の世界の復興だものね。こう言うと「ルネサンス」な気がしないか。
対してゼロ年代を代表するファンタジーは、涼宮ハルヒの憂鬱とか灼眼のシャナとかとある魔術の禁書目録とか、やたら学園異能ものが多い印象。神や英雄のいない今ココな世界での近代的自我確立の時代。涼宮ハルヒなんか「神」がいるじゃんと思うかもしれないけど、あれは最終的に「神は死んだ」をやるための物語だからね。
この想定を推し進めると、来たる10年代を代表するファンタジーは、「現代化」するんじゃないかな。悲惨なセカイ体験を経て、理性や技術に対する信頼は失われ、古い共同体は崩壊して、価値は相対化し、新しいネットワークの萌芽がみられる…みたいな物語。自己実現とか少年少女の成長物語とか(ダークでない)ファンタジーのお約束が解体されるかもしれない。
そういえばこのあいだ我々は「エンドレスエイト」とかいう悲惨なセカイ体験をしましたねー。って、冗談ですw。