黄道婆

元代、綿紡織の進んだ技術を海南島から江南に伝えた女性。松江府烏泥芤(現・上海市)の人。貧困のために流浪し、崖州(海南島)で三十余年生活して綿花の栽培法や紡績技術を学び、松江に伝来した。
松江綿布の母寄暢園)参照。

木綿の栽培は、もともと西南地方の少数民族がおこなっていたもので、綿花栽培が江南で広まるのは、宋末元初のこと。元の至元二十六年(1289)、「木綿提挙司」を置いて綿花栽培を奨励し、毎年十万匹の木綿の物納を求めたが、実情にあわず、二年で廃止。元貞二年(1296)、「江南夏税の制」を定め、生産量に応じて錦布・絹布を物納させた。
『図説中国文明史8 遼西夏金元 草原の文明』P155参照。