『怪物王女』

光永康則怪物王女』(講談社
藤子不二雄A『怪物くん』のオマージュ作品。作中の姫が王子、ヒロがヒロシ、フランドルがフランケン、リザがオオカミ男、令裡がドラキュラと対応していることは、すぐ気づかされる。
さて、関係ありそうで、関係ないことを一言。
最近、フィクションの中で殺されても死なない不死人が登場する作品が少なくないと感じられる。不死人が登場する設定自体をあれこれ言うつもりはないが、描写じたいは安易なものが多い。だいたい人間というもの、一度死にそうな経験をすれば、その痛みと恐怖と混乱の経験は、トラウマとして残るし、PTSDにかかってしまうことだってある。人間は学習する動物であるがゆえの当然の理として、不快で深刻な体験をした者は、同様の不快な体験を繰り返すことを避けようとする。しかしフィクション上では、そこいらの心理描写が甘く、不死の能力を濫用していると感ぜられることが多い。これはいかがなものか?