『緑の王』

たかしげ宙曽我篤士『緑の王』(講談社
原作は『スプリガン』の人。植物の異常大繁殖(プラント・バースト)によって変貌した世界を描く近未来SF。現代の問題系とは真逆の状況を思考実験してるSF。ここでは二酸化炭素温室効果による地球温暖化ではなく、むしろ二酸化炭素の急減による全球凍結が懸念されていたりする。しかし、よくよく考えると、森林が増加すればそこに寄食する動物種も急増するはずで、いったんそういうバランスが作られれば全球凍結なんて懸念するに及ばないんでは?プラント・バーストは短いスパンで文明にダメージを与えるかもしれないけど、長いスパンで考えたらむしろ人類の文明を発展させるのでは?とかツッコミ入れてみたりする。砂漠より草原に、草原より森林に、寄食する動物種がより多くなるのが当然であり、人間はもちろん動物に属しているのである。
ま、そんなことより本作のテーマは「行動する植物」であり、そちらを楽しむべきなんだろうけどね。