『輝くもの天より墜ち』

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『輝くもの天より墜ち』(ハヤカワ文庫)
ちょっとリリカル、ちょっとミステリー、ちょっとSFな長編。
物語の舞台となる惑星ダミエムには、昆虫から進化した美しい種族が住む。
<ザ・スター>のもたらす壮麗なスペクタクルを目撃しようとダミエムに13人のヒューマン(地球人類)がやってきたところから事件がはじまる。
事件ははたしてどのように解決されるのか?物語の大団円ははたしてハッピー・エンドといえるのか?それは読んでのお楽しみ。ラストの「老い」のシーンは、なかなか圧巻である。
物語の背景にあるのは、過去のヒューマンのふたつの犯罪だ。
ヒューマンとダミエム人の関係は、植民地的でありあるいは南洋的でもあり、20世紀の地球社会のある空気を感じさせる。なにやら現代社会と地続きのメッセージ性を読後に感じるものもあるだろう。