転蓬

最近ちょっとびっくりしたのが、ヨコハマタイヤのCMに「転蓬」が出てきたこと。
太陽光発電のパネルの間を転がってる枯れた植物が、「転蓬」です。
http://www.yokohamatire.jp/yrc/japan/library/tvcm/
「ころがるヨモギ」と書いて「転蓬」「轉蓬」ですが、実際はヨモギではなくてアカザ科の植物です。
牧野富太郎曰く、
http://www.ctb.ne.jp/~akiizumi/soumoku/yomogi.html

蓬とはアカザ科のハハキギ(ホーキギ)すなわち地膚のような植物で、必ずしも一種との見限られたものではなく、そしてそれが蒙古あたりの砂漠地方にさかんに繁茂していて、秋がふけて冬が近づくと、その草が老いて漸次に枯稿し、いわゆる朔北の風に吹かれて根が抜け、その植物の繁多な枝がたわみ抱え込んで円くなり、それへ吹き当てる風のために転々として、あたかも車のように広い砂漠原を転がり飛びゆくのである。そこでこれを転蓬とも飛蓬ともいっている。すなわち蓬の正体はまさにかくの如きものである。

乾燥地帯で見られる現象なんですね。
曹植「吁嗟篇」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9B%B9%E6%A4%8D
の冒頭に「吁嗟此轉蓬」(ああ!!この転がる蓬よ!)とあったり、
李商隠の詩に
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%8E%E5%95%86%E9%9A%A0
「走馬蘭臺類轉蓬」(私は秘書省に馬を走らせた 風に転がる根無し蓬のように)とあったり、よく見られるモチーフです。
文学的には「転蓬」は根無し草であり、漂泊する人の比喩です。
「飛蓬」ということもありますが、同じ意味です。

キリン伝来考

ベルトルト・ラウファー『キリン伝来考』(ハヤカワ文庫)第5章 中国

李石の編になる『續博物志』は、十二世紀半ばのものだが、明らかにキリンについて述べていると思われる、中国で最も古い文の一つを含んでいる──「弼琶囉po-pa-liの国[ベルベラ、アデン湾のソマリ沿岸]には、ラクダ・ウシ(駝牛)という名の不思議な動物がいる。その皮は、ヒョウの皮に似ており、その蹄は雄牛のそれであるが、しかし、その動物には背中にこぶがない。首の長さが九尺、胴体の高さが一〇尺もある。」

キリンに関する第二の言及は、一二二五年に、趙汝适が書いた『諸蕃志』の中に見られる。

宋代にキリンの記録があった。

一四一四年(明の世祖の治世下、永楽一二年)、ベンガル王、サイフッディン〔榜葛利王、賽佛丁〕の派遣した使節が中国を訪問した際、貢物としてキリンと名産の馬がもたらされた。礼部〔儀典部〕は永楽帝に、祝賀の勅語を賜るようにと奏上し、キリンは、麒麟と命名された。

キリンがはじめて中国に来て、キリンが麒麟と呼ばれるようになるのは、永楽帝の時代。