転蓬

最近ちょっとびっくりしたのが、ヨコハマタイヤのCMに「転蓬」が出てきたこと。
太陽光発電のパネルの間を転がってる枯れた植物が、「転蓬」です。
http://www.yokohamatire.jp/yrc/japan/library/tvcm/
「ころがるヨモギ」と書いて「転蓬」「轉蓬」ですが、実際はヨモギではなくてアカザ科の植物です。
牧野富太郎曰く、
http://www.ctb.ne.jp/~akiizumi/soumoku/yomogi.html

蓬とはアカザ科のハハキギ(ホーキギ)すなわち地膚のような植物で、必ずしも一種との見限られたものではなく、そしてそれが蒙古あたりの砂漠地方にさかんに繁茂していて、秋がふけて冬が近づくと、その草が老いて漸次に枯稿し、いわゆる朔北の風に吹かれて根が抜け、その植物の繁多な枝がたわみ抱え込んで円くなり、それへ吹き当てる風のために転々として、あたかも車のように広い砂漠原を転がり飛びゆくのである。そこでこれを転蓬とも飛蓬ともいっている。すなわち蓬の正体はまさにかくの如きものである。

乾燥地帯で見られる現象なんですね。
曹植「吁嗟篇」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9B%B9%E6%A4%8D
の冒頭に「吁嗟此轉蓬」(ああ!!この転がる蓬よ!)とあったり、
李商隠の詩に
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%8E%E5%95%86%E9%9A%A0
「走馬蘭臺類轉蓬」(私は秘書省に馬を走らせた 風に転がる根無し蓬のように)とあったり、よく見られるモチーフです。
文学的には「転蓬」は根無し草であり、漂泊する人の比喩です。
「飛蓬」ということもありますが、同じ意味です。