『古代文明と気候大変動』

このところブライアン・フェイガン『古代文明と気候大変動−人類の運命を変えた二万年史』(河出文庫)をぼけーっと読んでます。歴史をかなり長いスパンで捉えて、地球環境が寒冷化と温暖化、乾燥と温潤のあいだの変動を繰り返し、人類がそれに対応してきた経緯が書かれています。古代の人類は、氷河期の終焉とともに、新大陸を含む世界へと拡散し、気候の温暖化とともに文明を発展させてきました。かつての狩猟採集の生活から、農耕による定住生活に切り替え、短期的な気候の悪化に対しては対応できるようになりました。しかし一千年も続くような干魃におそわれたら、その土地を放棄して離散するしかありません。しかし、60億の人口を抱える現代の人類にはもはや大規模な移動という手段が取れず、気候の大きな変動に対して以前より脆弱になっているとのことです。ええっと、紹介文で結論まで書いちゃっていいのでしょうか(爆)。比較的新しい研究を参照しているようなので、興味のある向きはどうぞ。

ところで、「エウクセイノス湖」(8000年以上前の黒海は湖だった!)って、「Pontus Euxeinos」から来た単語なのかいな?ほかにも「ヤンガー・ドライアス期」とか、「ベーリング陸橋」とか聞き慣れない単語が出てきますので、注目。

とりあえず黒海の洪水ノアの箱船伝説のもとだという仮説は面白かったです。