「時をかける少女」とドラえもん

じつに爽快っ!時間モノSFでこんなに爽快なシロモノはそうないんではないかと思われる細田守監督の「時をかける少女」でありますが。なぜこんなに気持ち良く観られるかというと、かの国民的名作とかぶるからではないかと思いいたりました。
「何度でもリセットできるんだから」とお調子に乗ってタイムリープを繰り返し、結局は裏目に出てしまう紺野真琴って、のび太くんそのものでしょう。野球好きだし、勉強は不得手だし、ドジで懲りないし、妙にハイテンションだし、相違点を探すほうが難しいです。
細田版「時かけ」と「ドラえもん」の共通点って多いですよ。
日常系だし、時間SFだし、未来からきた〜だし、ギャグだし、少年少女の成長物語だし、…。
少しマジメな話をしますと、僕らは日常の中で無数の選択や決断を繰り返しています。その選択や決断の先には良いことが待つか悪いことが待つか予見は難しいわけですが、選択肢の数だけの無数の未来を見て、そこに可能性の沃野を見いだすわけです。そうした構成が多くの失敗を予見しつつも、タイムリープによる楽天的未来像を提示するわけです。ここまでは平行宇宙観です。しかしRPGでリセットボタンを押すことで、ゲームの進行はリセットできても、ゲームしている自分はリセットできないように、タイムリープする紺野真琴は不可逆でリセット不能なわけです。ここに単線時間軸が現れます。ところが、最後に一回可能になったタイムリープは何ぞやというのは、SF的設定では説明不能で、ドラえもん的ご都合主義としか言いようがないのです。(笑)
以上、いつか見た原風景だから、安心して見られるという説。しかし、繰り返しの多いものを退屈させずに見せるというのは難しいんですよ。監督もうまいんですよ、と推しておきます。

しかし、同じようなことを考える人はやはりいるようです。
http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20060719/tokikake

ちなみに、僕がタイムリープを使えたらどうするでしょうか、
1.競馬・株・先物取引など未来情報を利用しての金もうけを考える。
2.ふたつ不埒な悪行三昧を尽くし、お縄になったらタイムリープで脱出。
3.良く当たる占い師・予言者になって世を騒がし有名になる。
さて、どれでしょう?