『人間の手がまだ触れない』

ロバート・シェクリィ『人間の手がまだ触れない』(ハヤカワ文庫)
1950年代に編まれた短編集。寓話的SFばかり13篇。
「怪物」−金属の物体から降り立った醜怪な怪物たち。ファースト・コンタクトにおける視点の逆転と異文化ギャップの諧謔
「幸福の代償」−ここでいう幸福は、ツケを次の世代に回すことによってえられる。財政赤字世界一な某国とか、三つ子の赤字抱えながら莫大な消費で世界経済をささえてくれてる某国とか、あと京都議定書なんか連想したり…鬱になるからしない。
「祭壇」−なんとなくクトゥルー神話めいたお話。
「体形」−異星人の身分制度イデオロギー
「時間に挟まれた男」−あまりに壮大で日常的すぎる宇宙創生神話(笑)。
「人間の手がまだ触れない」−表題作。オチは宮沢賢治
「王様のご用命」−盗まれた発電機・エアコン・冷蔵庫。
「あたたかい」−ある日、聞こえるようになった神秘的な声。その主は…。
「悪魔たち」−五芒星に召還された悪魔の正体。
「専門家」−宇宙的分業体制。…人の本当の役割は。
「七番目の犠牲」−七番目の犠牲者は誰か。
「儀式」−「怪物」と同パターンの話。ただし降り立ったのは神様である。
「静かなる水のほとり」−人間と会話できる人工無能の中身がテープ吹き込み(笑)。本来は叙情作品のはずだが。