后の実家を滅ぼす帝王?

田中芳樹銀河英雄伝説』にパウル・フォン・オーベルシュタインというキャラクターがおりまして、冷徹怜悧な権謀家で常に合理的すぎる「正論」を吐くために誰からも嫌われながら、我が身を省みない無私の姿勢をみせる人物なのですが、かれが次のような台詞を吐いたことがあります。
「ですが、皇妃の父兄、すなわち外戚がいたずらに栄誉を誇り、権力をふるうがごときは、国家に多大なる害をもたらします。古代においては、皇妃をめとるに際し、その一族をことごとく殺して将来の禍根をたった帝王の例もありますれば、ご留意ください」

さて、帝王が外戚の一族を皆殺しにした例というのが、意外とピンと来ないのです。強いていうなら、漢の宣帝が霍一族を粛清した例とかですかねえ。皇后自体も幽閉されてますけど。
少し見方を変えると、征服者が被征服地の男系王族を根絶やしにして、王女を妻に迎えるパターンなら、古代・中世にいくつか見られると思うのです。北魏の太武帝の赫連皇后とか隋の文帝の宣華夫人とか、そういう例ですね。