「微レ存」漢文説の謎を追う

ネットに長く入り浸っていると、「微レ存」というネットスラングをどこかで聞いたことがあるかもしれません。これは(可能性が)「微粒子レベルで存在する」を略して作られたことが解明されています。

略しすぎて何だか分からなくなったシリーズ 「微レ存」ってどういう意味?(ねとらぼ)
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1307/24/news132.html
ネットで見かける「微レ存」ってコトバ…どんな意味なの?(NAVERまとめ)
http://matome.naver.jp/odai/2138267066332571201

ところが、「微レ存」の「レ」が漢文訓読の返り点の「レ」に見えなくもないことから、「微レ存」漢文説も根強く囁かれているのです。そもそもレ点を除いた「微存」という漢文の語句はあるのでしょうか。

『隋書』巻76列伝第41 文学 潘徽伝
「且文訛篆隸,音謬楚、夏,三蒼、急就之流,微存章句,説文、字林之屬,唯別體形」
『宋高僧伝』巻20 感通篇第6之3 唐洛陽香山寺鑑空伝
「戒珠曾缺羶氣微存
『鐔津文集』巻第14 非韓上
「故孔子稍言之蓋微存於世書耳」

用例は少ないものの、実在しているようです。
「微存」を日本式の漢文訓読でどう読むべきでしょうか?
「微カニ存ス」(かすかにそんす/わずかにそんす)と読むのが、まず自然に思えます。
レ点を挟むなら、「存スルコト微カナリ」(そんすることかすかなり/そんすることわずかなり)と読むこととなります。ややゴテゴテしてはいますが、「微レ存」と書くならこう読むべきなのでしょう。「可能性がきわめて少ない」という意味で読むことも、文脈次第では可能になります。

世上の説は誤りであり、実は漢文から来たという可能性も「微レ存」?