「為念」を「念のため」とするのは漢語的にはおかしい。

為念 ってなんですか?人力検索はてな
為念って念のためという意味と思いますが辞書にありません。ある程度公式な文章に...Yahoo!知恵袋
「為念」は「念のため」と読むもので、しかもそれが漢語・漢文がもとだと思われているらしい。

漢書』巻77王吉伝
「願留意、常以為念。」
小竹武夫訳『漢書6列伝III』(ちくま学芸文庫)P276
「どうかこのことをお忘れにならず、つねにお心にとめていただきとうぞんじます。」

三国志』巻6魏書6董卓伝(裴注所引張璠『漢紀』)
「努力謝關東諸公、以國家為念。」
今鷹真・井波律子訳『正史三国志I』(ちくま学芸文庫)P432
「どうか、関東の諸侯によろしく伝え、国家を忘れぬようにいってくれ」

三国志』巻9魏書9曹真伝
「臣昔從遼東還、先帝詔陛下・秦王及臣升御牀、把臣臂、深以後事為念。」
井波律子・今鷹真訳『正史三国志II』(ちくま学芸文庫)P179
「私が昔、遼東から帰還いたしましたおりに、先帝は陛下と秦王(詢)および私に詔勅を下されて、寝台の上まで登らせ、私の腕をとって、くれぐれも後の事を頼むと仰せになりました。」

例はいくらでもあるんだけど、漢文で読み下すなら、これらはいずれも「念と為す」=「ねんとなす」だろう。漢文・漢語的には「為念」は「記憶にとどめる」とか「思いつづける」とか「心配する」くらいの意味で、「念のため」という意味はない。これを「念のため」と使うのは、日本語独自の用法だ。現代中国語でも「为念」(wei2nian4)は、漢語的意味を引き継いでいる。

参考:Google百度