我が内なる加藤智大

秋葉原で大事件を起こした人が加藤っていうらしいから、てっきり平将門の怨霊つかって帝都を破壊しようって彼のことかと思ったんだけど、違うらしいね。はるかに小者じゃん。

しっかし、聞けば聞くほど不快な事件だね。
彼の話を聞いてると、自分の姿を鏡に映したときのヤな気分っていうかさ、自分の暗黒面を白日の下に暴き出されたみたいな気がしてくるよ。加藤君は非モテ非コミュワープアでオタクで元優等生で甘ったれでさ、こいつ俺のことを報道してるんじゃないかって錯覚しかけたよ。

そういえばこの加藤君は卒業文集に「ワタシはアナタの人形じゃない。赤い瞳の少女(3人目)」って書いてたそうでさ、ネタ元も知らないまま、ANNニュースで精神科医がその意味を分析してたらしいね。
http://blitznews.blog97.fc2.com/blog-entry-1082.html
TVスタッフにエヴァンゲリオン見てるやつ一人くらいいなかったのかというツッコミはさておき、その「赤い瞳の少女」=エヴァ綾波レイの名言として有名なやつに「私は死んでも代わりはいるもの…」というやつがあるよね。
フィクションの人物が言うなら感傷的になってりゃすむだけの話だが、現実なら洒落にならない。まさに加藤君はその状態だったわけでさ。
http://d.hatena.ne.jp/boiledema/20080610#1213114352

犯人は他人を巻き込まず、一人で勝手に死ねばよかった、そう言う人は多い。裾野市なので富士の樹海は近い。だが、犯人があのまま秋葉に行かず、一人樹海に向かったとしても、誰も探しに行かなかっただろう。

派遣会社も、派遣社員の同僚も良くあるバックレとしか思わず、社員はいなくなったことも知らない。

いやいや天下の読売新聞が「自分ひとりが世をさればいいものを」と言っていたとさ。
http://netsummary.seesaa.net/article/100029652.html

異常な事件が起こると、人はそれを外部化して心の平衡を保とうとするよ。異質なものを排斥して疎外して爪弾きにして日常を取り戻す。でもね、俺はあえて今回それを内部化するよ。俺の中にも加藤智大と同質のものが棲んでいることを認めるよ。彼と同様の行動を起こさなかったのは単なる偶然にすぎない。運命の天秤のちょっとした傾きの差にすぎない。

中島みゆきは歌ったよ。

空と君とのあいだには今日も冷たい雨が降る 君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる

いや違う!誰も加藤君に笑いかけたりしなかったから、加藤君は悪になったんだ。